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【2024年版】ものづくり補助金とは?申請枠や工場での活用事例を紹介

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    2024年度においても、ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)の公募が行われました。

    ただし2024年6月時点では、次回のものづくり補助金の公募予定(19次公募)は未定です。今後募集が行われたときにすぐに対応できるよう、ものづくり補助金の概要やスケジュール、採択のために必要なことを確認しておくことをおすすめします。

    食品工場での事業拡大や生産プロセス改善などでも、ものづくり補助金を活用できます。設備投資や新商品開発を検討する食品工場の担当者は、ぜひ一度ご確認ください。本記事では、18回公募時点の情報を基に、ものづくり補助金について解説します。

    補助金とは?ものづくり補助金の概要に沿って解説

    補助金とは、国や自治体の政策目標(目指す姿)に合わせた事業計画を募集し、その事業計画を実施する事業者の取り組みを資金給付という形でサポートする制度です。
    以下では、補助金の概要について、ものづくり補助金の概要に沿って見ていきます。

    まずものづくり補助金は、国が実施する「中小企業生産性革命推進事業」の1つです。

    中小企業生産性革命推進事業には、「生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者の設備投資、IT導入、国内外の販路開拓、事業承継・引継ぎを補助し、切れ目なく継続的に、成長投資の加速化と事業環境変化への対応を支援することを目的とする。」という事業目的があります。

    そしてものづくり補助金は、大目標となる上記の事業目的を達成するための、小目標を達成するために行われる事業です。

    ものづくり補助金の具体的な目的としては、「今後事業者が直面するインボイス制度、働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げなどの制度変更に対応するため、中小企業や小規模事業者などが取り組む革新的な製品・サービスの開発、生産プロセス等の省力化を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援する」が挙げられています。

    こうした中小企業生産性革命推進事業やものづくり補助金の目的を達成できれば、結果的に国や自治体全体の経済や雇用が活性化し、国や自治体が掲げた政策目標の効果を大きくすることができるのです。

    しかし目的を達成するには、全国の企業が目標達成のための具体的な行動を起こさなければなりません。そこで国や自治体は、「補助金」という形で事業者の資金サポートを行うことで、国や自治体が求める事業の実施を促進しています。

    事業者にとっても、自社の事業拡大や事業展開に仕える資金調達ができることから、非常にメリットが大きい制度と言えるでしょう。

    ただし補助金申請を検討する際は、以下の点を事前に確認しておくことが大切です。

    • 事務局の審査を受けて採択された事業者でなければ、補助金を受け取れない
    • 補助金の申請、交付決定、採択された事業計画通りの補助事業実施、補助金の請求の後に受け取る「後払い制度」である
    • 補助金の計算は「補助事業にかかった経費×補助率」で行う
    • ものづくり補助金の補助対象経費は、公募要領にて決まっている種類に限る
    • 補助金は収入扱いになる

    なお中小企業生産性革命推進事業にはものづくり補助金のほかにも、小規模事業者持続的発展支援事業(持続化補助金)、サービス等生産向上IT導入支援事業(IT導入補助金)、事業承継・引継ぎ支援事業(事業承継・引継ぎ補助金)があります。

    【2024年版】ものづくり補助金の概要

    ものづくり補助金とは、今後複数年にわたって行われる多くの制度変更に対応するため、中小企業者・小規模事業者が取り組むさまざまな設備投資を金銭的に支援する制度です。

    以下では、2024年18次公募時点でのものづくり補助金交付までのおおまかな流れや、申請対象の事業者などを解説します。

    ものづくり補助金交付までのおおまかな流れ

    ものづくり補助金交付までのおおまかな流れは次の通りです。


    出典:ものづくり補助金「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業公募要領(18次締切分)1.1版

    最初に、自社が「ものづくり補助金の目的に合致する事業計画を策定できるか」を検討し、補助事業の内容や必要な設備を決めていきます。これらの内容を事業計画書としてまとめ、他の必要書類と一緒に事務局へ提出します。

    ものづくり補助金は、すべて電子申請での申し込みが必要です。GビズIDの公式ホームページにてGビズIDプライムアカウントを取得し、電子申請システムにて申し込みを行いましょう。やり方は、ものづくり補助金総合サイトの「電子申請」にて、マニュアルなどを確認できます。

    必要書類や必要書類の様式については、公募要領や公式ホームページであるものづくり補助金総合サイトをご覧ください。

    事業計画書を提出したら、ものづくり補助金事務局による審査が行われます。補助申請金額が一定以上になると、オンラインにて口頭審査も実施されます。

    審査が終了して採択を受けられたら交付通知を受け取り、事業計画書に沿った補助事業を実施しましょう。補助事業終了後に確定検査にて補助金額を確定させ、補助金を請求した後に補助金が交付されます。

    なお補助金の交付を受けた後も、6年間の事業化状況・知的財産権等報告が必要です。

    ものづくり補助金の申請対象の事業者

    ものづくり補助金へ申請できる中小企業者(組合・法人関連は除く)は、中小企業等経営強化法に定められたものです。資本金または申請時の常勤従業員(中小企業基本法上の「常時使用する従業医院」)が、下図の数字以下であることが求められます。

    業種 資本金 従業員数(常勤)
    製造業、建設業、運輸業 3億円 300人
    卸売業 1億円 100人
    サービス業
    (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)
    5,000万円 100人
    小売業 5,000万円 50人
    ゴム製品製造業
    (自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)
    3億円 900人
    ソフトウェア業または情報処理サービス業 3億円 300人
    旅館業 5,000万円 200人
    その他の業種(上記以外) 3億円 300人

    他には、組合・法人関連の中小企業者、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、社会福祉法人などが対象です。

    もし以下の小規模企業者・小規模事業者に該当する場合は、ものづくり補助金の補助率が優遇される場合があります。

    業種 従業員数(常勤)
    製造業その他 20人以下
    商業・サービス業 5人以下
    サービス業のうち宿泊業・娯楽業 20人以下

    一方で、過去3年間に2回以上ものづくり補助金の交付決定を受けている、みなし大企業に該当する、直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える事業者など、補助対象外となる事業者も決まっています。

    詳細は公募要領をご覧ください。

    ものづくり補助金の基本要件

    ものづくり補助金の申請対象となる事業計画書は、あらかじめ定められた「基本要件」を最低限クリアしたものでなければなりません。

    ものづくり補助金の基本要件とは、以下に示した要件を、3~5年で達成できる事業計画を策定することです。

    • 事業計画期間において、給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させること
    • 事業計画期間において、事業場内最低賃金を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準にすること
    • 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)を年平均成長率3%以上増加させること

    このように、ものづくり補助金の交付を受けるには、事業の生産効率を明確に向上させる必要があります。

    また申請する類型によっては、基本要件以外の追加要件を満たさなければ、採択を受けられません。

    例えば製品・サービス高付加価値化枠の成長分野進出類型(DX・GX)は、「グリーン成長戦略実行計画14分野に掲げられた課題の解決に資する革新的な製品・サービスの開発であること」が追加要件としてあります。

    ものづくり補助金の対象経費

    ものづくり補助金として申請できる支出は、現在メインとしている事業と明確に区別できるものかつ、補助事業における経費の必要性・金額の妥当性を証拠書類によって明確に確認できる経費です。

    そのうえで、以下に示した補助対象経費に該当する必要があります。

    • 機械装置・システム構築費
    • 運搬費
    • 技術導入費
    • 知的財産権等関連経費
    • 外注費
    • 専門家経費
    • クラウドサービス利用費
    • 原材料費
    • 海外旅費
    • 通訳・翻訳費
    • 広告宣伝費・販売促進費


    出典:ものづくり補助金「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業公募要領(18次締切分)1.1版

    食品工場なら、「新しい製造設備に導入によって、生産性の向上と従業員の業務効率カにつなげる」「在庫管理や受発注を管理できるシステムを構築する」といった目的で使う経費に関して、ものづくり補助金を受け取れる可能性があります。

    ただし、最終的に対象経費になるか否かは事務局の判断になります。認められる事業計画とするには、公募要領をよく確認し、ものづくり補助金の目的や審査項目を細かくチェックすることが大切です。

    2024年度におけるものづくり補助金の変更点

    ものづくり補助金は、2024年度(17次公募~)よりさまざまな変更が加えられています。2024年度における、ものづくり補助金の変更点をまとめました。

    • 通常枠やデジタル枠などが、省力化(オーダーメイド)枠や製品・サービス高付加価値化枠などに変更された
    • 補助金額の上限が1億円(上乗せ措置あり)とこれまでの2倍になった
    • 大幅賃上げにかかる補助金上限額引上げの特例が、最大1,000万円から2,000万円に強化された
    • オンラインよる口頭審査が新設された
    • これまでより年間の公募数が2回程度と少なくなり、スケジュールもタイトになっている

    2024年6月時点では、19回公募の予定は出ていません。今後募集される可能性はあるので、公募のアナウンスがあったときにいつでも申請できるよう準備しておきましょう。

    【2024年6月】ものづくり補助金の申請枠は?上限額と補助率も解説

    18次公募時点でのものづくり補助金には、以下の申請枠が設けられています。

    • 省力化(オーダーメイド)枠
    • 製品・サービス高付加価値化枠
    • グローバル枠
    • 大幅賃上げにかかる補助上限額引上の特例

    省力化(オーダーメイド)枠

    省力化(オーダーメイド)枠とは、人手不足解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入などによって、ものづくり補助金の目的を果たす設備投資を支援する申請枠です。

    ICT、IoT、AI、ロボット、センサーなどの活用、システムインテグレーター(Sler)との連携などを行う必要があります。デジタル技術等を活用しない場合は、ものづくり補助金の対象外になるので注意しましょう。

    補助金額 •従業員数5人以下 :100万円~750万円
    •従業員数 6~20人 :100万円~1,500万円
    •従業員数 21~50人 :100万円~3,000万円
    •従業員数 51~99人 :100万円~5,000万円
    •従業員数100人以上:100万円~8,000万円
    補助率 補助金額1,500万円まで
    •中小企業:1/2
    •小規模企業者・小規模事業者・再生事業者:2/3
    補助金額1,500万円を超える部分
    •中小企業:1/3
    •小規模企業者・小規模事業者・再生事業者:1/3

    製品・サービス高付加価値化枠

    製品・サービス高付加価値化枠には、通常類型と成長分野進出類型(DX・GX)の2種類があります。

    通常類型

    通常類型は、顧客に新たな価値を提供することを目的にするという革新的な製品・サービス開発の取り組みに必要な設備・システム等への投資を支援するものです。

    補助金額 •従業員数5人以下 :100万円~750万円
    •従業員数 6~20人 :100万円~1,000万円
    •従業員数 21以上 :100万円~1,250万円
    補助率 •中小企業:1/2
    •小規模企業者・小規模事業者・再生事業者:2/3
    •新型コロナ回復加速化特例:2/3

    成長分野進出類型(DX・GX)

    成長分野進出類型(DX・GX)は、今後成長が見込まれるDX・GX分野に資する革新的な製品・サービス開発の取り組みに必要な設備・システム等への投資を支援するものです。

    通常類型よりも、補助上限金額や補助率が優遇されています。

    補助金額 •従業員数5人以下 :100万円~1,000万円
    •従業員数 6~20人 :100万円~1,500万円
    •従業員数 21以上 :100万円~2,500万円
    補助率 事業規模に関係なく2/3

    グローバル枠

    グローバル枠とは、海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備・システム等を支援するものです。

    会議事業とは、「海外への直接投資に関する事業」「海外市場開拓(輸出)に関する事業」「インバウンド対応に関する事業」「海外企業との共同で行う事業」の4つのことを言います。

    補助金額 100万~3,000万円
    補助率 •中小企業:1/2
    •小規模企業者・小規模事業者:2/3

    大幅賃上げにかかる補助上限引上の特例

    大幅賃上げにかかる補助上限引上の特例とは、大幅な賃上げに取り組む事業者に対して、申請枠と従業員数に応じた補助金額の引き上げを行う制度です。

    基本要件よりも、高い年平均成長率や地域別最低賃金水準をクリアする必要があります。

    引上金額 【省力化(オーダーメイド)枠】
    •従業員数5人以下 :申請枠の上限から最大250万円
    •従業員数6~20人 :申請枠の上限から最大500万円
    •従業員数21~50人 :申請枠の上限から最大1,000万円
    •従業員数51~99人 :申請枠の上限から最大1,500万円
    •従業員数100人以上:各申請枠の上限から最大2,000万円

    【製品・サービス高付加価値化枠およびグローバル枠】
    •従業員数5人以下 :各申請枠・類型の上限から最大100万円
    •従業員数6人~20人:各申請枠・類型の上限から最大250万円
    •従業員数21人以上 :各申請枠・類型の上限から最大1,000万円

    補助率 【省力化(オーダーメイド)枠】
    補助金額1,500万円まで
    •中小企業:1/2
    •小規模企業者・小規模事業者:2/3

    補助金額1,500万円を超える部分
    •中小企業:1/3
    •小規模企業者・小規模事業者:1/3

    【製品・サービス高付加価値化枠およびグローバル枠】
    通常類型・グローバル枠
    •中小企業:1/2
    •小規模企業者・小規模事業者:2/3
    成長分野進出類型(DX・GX)
    •2/3

    ものづくり補助金の難易度は?採択率と採択のコツを解説

    ものづくり補助金の交付を受けるのは、決して高難易度ではありません。しかし、なんの対策もせずに交付されるほど簡単な制度でもありません。以下では、ものづくり補助金の採択率や採択を受けるためのコツを解説します。

    ものづくり補助金の採択率

    ものづくり補助金の採択率は、おおよそ40~60%で推移しています。11次~16次の採択率の推移は次の通りです。

    公募回 採択率
    11次公募 59.4%
    12次公募 58.6%
    13次公募 58.0%
    14次公募 50.7%
    15次公募 50.2%
    16次公募 48.8%

    直近の3回では50%で推移しており、申請した事業者の半分程度が採択を受けている形になります。とはいえ17次公募以降は申請枠の変更や口頭審査の導入が行われているため、採択率が大きく変動する可能性があります。

    ものづくり補助金の採択を受けるためのコツ

    ものづくり補助金の採択を受けるためのコツを、ものづくり補助金総合サイトのデータポータルなどを基に以下でまとめました。

    • 申請金額は大きいほうが、詳細な事業計画の策定や高機能の機械装置を導入できることから、採択率が上がる傾向にある
    • 補助金コンサルティング会社といった専門家に相談したほうが、採択率が上がる傾向にある
    • 審査項目に加えて、加点項目を2つ以上クリアしたほうが、採択率が大きく上がる
    • 公募要領に記載してある書面審査の審査項目(補助対象事業としての適格性、技術面、事業化面、政策面など)をチェックし、満たせる事業計画を策定することが大切になる
    • 事業計画書は論理的かつわかりやすい構成とストーリーが必要になる
    • 口頭審査対策として、事業計画の内容と発言内容を一貫させる、事業計画の内容は頭に入れておく、口ごもらずはっきりと発言するなどを意識しておくことが重要になる

    食品製造業におけるものづくり補助金活用事例

    数多くの食品関係の設備導入や生産プロセス改善において、ものづくり補助金の採択が行われています。以下では、食品製造業におけるものづくり補助金の活用事例を紹介します。ぜひ参考にしてください。

    • 小ロット向けの小型バウムクーヘンオーブンの開発と、海外を含めた販路拡大を達成した
    • ミニ充填機とキャッパー導入による、フルーツコーディアルと超低糖度ジャムの2商品の開発と商標登録を行い、超低糖度ジャムは農産加工品の賞において金賞を受賞した
    • 柚子ピール(皮)製品の設備機械の設計開発、柚子ピール製品の開発などを行い、新商品を開発・販売できた
    • 生産力200%達成のための昆布粉末製造設備における、大型乾燥機の設備投資を行った
    • 冷凍食品事業を展開するために液体凍結機を導入し、生産性40%向上と商圏の全国展開を達成した

    まとめ

    ものづくり補助金を活用すれば、食品工場における製造ラインの改善、新商品用の製造機械導入、管理システムを活用した業務効率化などを達成できます。ものづくり補助金の交付を受けるためにも、ものづくり補助金の目的に応じた事業計画書を作成し、不備なく手続きを進めましょう。

    この記事の監修者

    ケーケーマグネット株式会社

    KK MAGNET 事務局

    KK MAGNET株式会社は、培ってきたハイレベルな施工品質による高磁力磁石・金属異物除去磁力検査粉体輸送、省人化等の事業です。
    プラントの設備設営に関するトータルな事業に関する高い技術を惜しみなく提供いたします。 本コラムはKK MAGNETが監修するお役立ちコラムです。

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