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磁力選別機の効果を最大化する使い方とは?

磁力選別機は、金属異物の除去や製品の品質向上に欠かせない重要な設備です。
しかし、導入しただけで満足してしまい、十分な効果を得られず悩んでいるケースも少なくありません。
磁力選別機は、適切な使い方を理解し、運用方法を工夫することで、本来持つ性能を最大限に発揮させることができます。

この記事では、磁力選別機の効果を引き出すために押さえておくべきポイントを、わかりやすく解説していきます。

磁力選別機の効果を左右する基本要素

磁力選別機のパフォーマンスは、いくつかの基本要素によって大きく左右されます。
まずは、最初に理解しておきたいポイントについて整理しておきましょう。

磁力(ガウス値)の重要性

磁力選別機の最も基本となる性能は「磁力」、つまりガウス値です。
磁力が強いほど、金属異物を吸着する力も高まります。
特に微細な金属粉を確実に除去したい場合には、高ガウスのモデルが必須となります。
一方で、大きな金属片などを対象とする場合は、中程度の磁力でも十分対応できることが多く、用途に応じた適切な磁力選びが必要です。

対象物の流し方とスピード

磁力選別機の効果は、対象物が磁場を通過する際の流れ方にも大きく左右されます。
対象物が速すぎるスピードで流れると、異物が磁石に引き寄せられる前に通過してしまうため、除去率が低下してしまいます。
また、対象物が分厚く積み重なって流れる場合も、下層にある異物まで磁力が届かず、完全な除去が難しくなります。

できるだけ対象物を薄く、均一な層で流す工夫をすることが、選別効率を高めるために重要です。

設置位置と高さの最適化

磁力は距離が離れると急激に弱まる性質を持っています。
そのため、磁石と対象物の距離をできる限り近づけることが、性能を最大限に引き出すための基本です。
また、コンベアの速度や角度を調整し、磁場との接触時間を最適化することで、異物除去率をさらに高めることができます。

磁力選別機の効果を最大化する具体的な使い方

基本要素を押さえた上で、磁力選別機をより効果的に運用するためには、いくつかの実践的な工夫が必要です。
ここでは、効果を最大化するための使い方を順番に見ていきましょう。

定期的なメンテナンスとクリーニング

磁力選別機の表面には、使用を重ねるうちにほこりや油分、異物の破片などが付着していきます。
これらの汚れは磁力の伝達を妨げ、吸着力を大きく低下させる原因になります。
そのため、運用の中に「定期的な清掃」を必ず組み込み、磁石表面を常に清潔に保つことが重要です。

清掃は乾いた布で拭くだけでも効果がありますが、油分がひどい場合は専用の洗剤を使うとより効果的です。
特に食品や医薬品分野では、異物混入を防ぐためにも清掃管理が欠かせません。

  • 毎日、または使用ごとに清掃する
  • 磁石表面の異物を取り除く
  • 固着がひどい場合は専用洗剤で拭き取り

適切な磁力レベルの選定

単純に「磁力が強ければ強いほどよい」と考えがちですが、実際には過剰な磁力が問題を引き起こすこともあります。

たとえば、製品本体に含まれる微量の鉄成分まで吸着してしまい、歩留まりが悪化することがあるためです。

選別対象や目的に合わせて、必要十分な磁力を選定することが、トラブルを防ぎ、長期的な安定稼働につながります。

対象物の流れを制御する工夫

対象物が磁力選別機に流れる際、できる限り薄く均一な状態で供給されることが理想です。
そのためには、

  • ホッパー(投入口)にバイブレーターを取り付ける
  • コンベアのスピードを調整する
  • 搬送装置の幅いっぱいに広げて流す

といった工夫が必要です。

対象物が一箇所に偏ったり、塊になって流れたりすると、どうしても除去漏れが発生しやすくなります。
安定した供給ができるような設備設計を心がけましょう。

排出ルートの設計にも注意

磁力選別機で吸着された金属異物が、搬送ラインに戻ってしまうと、選別効果は台無しになります。
そのため、異物と製品をしっかり分離できる排出設計が欠かせません。

たとえば、

  • 磁石部の直下に異物回収用のトレーを設ける
  • スクレーパーを設置して確実に除去する
  • エアブローで金属を弾き飛ばす

など確実な排出方法を考える必要があります。

定期的な異物テストを実施する

磁力選別機を導入して終わりではなく、運用後も定期的に「異物テスト」を行うことが重要です。
テストピースと呼ばれる規格品の金属片を対象物に混ぜ、ちゃんと除去できるかを確認します。

もし除去できなかった場合には、磁力不足、対象物の流速過多、設置位置の問題などを疑い、速やかに改善を図るべきです。

テスト運用を習慣化することで、品質トラブルを未然に防ぐことができます。

よくある失敗例とその対策

最後に、実際の運用でありがちな失敗と、その具体的な対策についても触れておきましょう。

まずよく見られるのが、異物サイズに見合わない磁力の選定ミスです。

選別対象が微細な金属粉であるにもかかわらず、磁力が弱すぎる機種を選んでしまい、除去率が低くなってしまうパターンです。
これを防ぐには、導入前に必ず現場でテストを行い、異物除去性能を確認してから製品選定を行うことが大切です。

また、設置後のメンテナンスを怠ってしまい、徐々に性能が低下するケースも多く見られます。
導入当初は高い除去率を保っていたものの、汚れや摩耗の影響で年々効果が落ちていくことを防ぐには、運用ルールに「清掃・点検」を明文化して組み込むことが効果的です。

さらに、対象物の流れが乱れてしまう問題も見逃せません。
特に流量が多い現場では、対象物が一箇所に集中してしまい、磁力が届かない部分が生じるリスクが高まります。
この場合は、流量制御装置を追加する、供給装置を再設計するなどの対策を講じることで、均一な供給が可能になります。

まとめ

磁力選別機は、使い方次第でその効果に大きな差が出る設備です。
単に設置するだけでは、本来のパフォーマンスを十分に引き出すことはできません。

磁力選定、対象物の流し方、設置高さの調整、定期的なメンテナンス、異物排出ルートの確保、そして運用後のテスト確認。
これらを総合的に実践することで、磁力選別機は驚くほど高い除去効果を発揮し、製品品質の向上やトラブル防止に大きく貢献してくれます。

この記事の監修者

ケーケーマグネット株式会社

KK MAGNET 事務局

KK MAGNET株式会社は、培ってきたハイレベルな施工品質による高磁力磁石・金属異物除去磁力検査粉体輸送、省人化等の事業です。
プラントの設備設営に関するトータルな事業に関する高い技術を惜しみなく提供いたします。 本コラムはKK MAGNETが監修するお役立ちコラムです。

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